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原発・被曝量20ミリシーベルトは安全? [原発・被曝関連]

追記

アメリカの医師団は「年間20ミリシーベルトは子どもの発ガンリスクを増加させる」として反対しているらしい。
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011050201000194.html

以下、共同通信より編集転載
・・・・・・
日本政府が年間20ミリシーベルトを目安として設定したことに対し、米国の民間組織「社会的責任のための医師の会(PSR)」が、「子供の発がんリスクを高めるもので、このレベルの被ばくを安全とみなすことはできない」との声明を発表した。
PSRは1985年にノーベル平和賞を受賞した「核戦争防止国際医師の会」の米国内組織。

声明は、米科学アカデミーの研究報告書を基に「放射線に安全なレベルはなく、子供や胎児はさらに影響を受けやすい」と指摘。「年間20ミリシーベルトは、子供の発がんリスクを200人に1人増加させ、このレベルでの被ばくが2年間続く場合、子供へのリスクは100人に1人となる」として「子供への放射線許容量を年間20ミリシーベルトに引き上げたのは不当なことだ」と批判した。

転載終わり。
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私は「ゆるやかな脱原発に賛成」だが・・・
(増設は反対。経済状況が許す限り、古いものや危険な地域にある原発から廃炉を目指し、未だに最終処理が出来ない高レベル放射性廃棄物はできるだけ増やさないようにしたい。レベル7クラスの事故は、おそらく大震災と同時に起こり、国家的な経済危機に陥るリスクがある。そして、原発のように大規模集中型より、小規模分散型で、リスクを分散させたほうがいいのでは、と思う。原発を縮小した時の経済的打撃については、よく分からない。代替エネルギーの開発に期待している)

しかし「原発擁護派容認派」の意見、考え、データ、記事も紹介しながら、考えてみようということで、綴っている。

そう、人は自分が支持する説を裏付けるデータを持ってくるので、論理性があるように見えるが、そもそもそのデータが正しいのか、どういう条件下でとられた数字なのか・・・である。 大雑把で曖昧な条件下でとられたデータは、数値操作がしやすく、自分の説を裏付けるかのようなデータをつくりあげることもできる。

ということで、今までも「被曝健康被害」について、いろんな人の考えや意見、聞いた話、さまざまな記事、データなどを紹介してきた。
(※「被曝健康被害関連」などで書いた記事と内容が重複している箇所あります)


では子ども含め、「被曝量、年間20ミリシーベルトまで大丈夫なのか?」について

ドイツでは1992年と1997年に、原発の周囲5km圏内に小児白血病が多いことが報告されていたらしい。
1997年の調査では、5km圏内の小児白血病が高率で発症するに対し、15km圏内では高くはないことが分かり、2007年12月には「小児がんで1.61倍、白血病で2.19倍」との調査結果を、ドイツ環境省は公表しているという。

なのに、子どもにとっても、「しきい値仮説=低線量被曝は無害」は本当なのだろうか?
ドイツの原発5キロ圏内で、どのくらいの放射線量が出ていたのか?
事故を起こしていない原発の周囲の放射線量などごくごく微量だろうと思うのだが。

池田信夫氏は「200ミリシーベルト以下であれば無害」との説をブログに書き・・・
慶応大学放射線治療科の近藤誠医師は「100ミリシーベルト以下であれば無害だという説もあるが、それを支持する専門家はまだ少数であり、低量線被曝は無害ではない、という説が支持されている」と発言し・・・
武田邦彦教授も「子どもは警戒せよ」「できるだけ被曝しないほうが良い」との意見であり、「年間1ミリシーベルトまで」を支持しているようだ。

一方、日本政府は「20ミリシーベルトまで大丈夫」ということで、基準値を上げようとしている。

ドイツの原発5キロ圏内・・・一体、どの程度の線量が出ていたのか?
事故を起こしたわけじゃない、ごく普通に稼動していた原発だ・・・
年間20ミリシーベルトを超えていたのか超えていなかったのか・・・

そして、今、普通に稼動中の日本の原発の5キロ圏内の線量はどのくらいなのだろうか。

年間20ミリシーベルトまで大丈夫なのか否か、原発5キロ圏内の放射線量を量ってみればいいと思う。
もし線量が20ミリシーベルト以下でごく微量という結果であれば、20ミリシーベルト以下でも子どもにとっては危険かもしれない、ということになる。ドイツ環境省の報告を信じるならば、だ。

もちろん、ドイツ環境省のデータが正しいのかどうかは分からない。

それは全てのデータにいえる。

前回、紹介した国立がんセンターのガン発生リスク表も、どういう条件下でその数値が出てきたのか、よく考えれば、曖昧で、あやふやなものである。

老人を含めてしまうと、一般の日本人のガン発生率は50パーセントになってしまう。
若年層に絞ったガン発生率でなければ分かりにくい。とくに被曝による害は子どもに出やすいのだから・・・そして被曝によるガンは、子どものガンの中でも、甲状腺ガンのほか、特に「白血病」が多いと聞く。

本当に【子どもの被曝健康被害】を目的にデータをとるとしたら、 一般の若年層の、小児ガンを含め、白血病、悪性リンパ腫など、被曝によって発現しやすい種類のガンに絞った発生率とで較べないと意味がない気がする。

国立がんセンターのデータは、全てのガンが対象であり、老人まで含めたガン発生率との比較だろうから、それでは「正確な数値」は出てこない気がする。

池田氏の言う「タバコや酒のほうが被曝より怖い」は、大人だけにしか当てはまらないかもしれない。

ということで・・・
20ミリシーベルトが安全かどうか・・・少なくとも、こういったデータ(原発5キロ圏内の子どものガン発生率データ)があるということだ。

気をつけないと、データに騙されてしまうことがあるかもしれない。国立がんセンターのデータは当てにならないかもしれない。これで「子どもも低量線被曝(20ミリシーベルトまで)は害がない」と判断するのは、もしかしたら危険かもしれない。
もちろん、だからといって「危険だ」と断定は出来ない・・・あくまで「かもしれない」だ。

なので「危険かもしれないけど、そうじゃないかもしれないもの」に、コストをかけられないという考えもあるのだろう。

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ほか気になったニュース、他の方の記事。

http://www.niigata-nippo.co.jp/news/pref/22239.html
「反原発派勢力1議席減らす柏崎・刈羽議員選挙」

↑なるほど、池田信夫氏が言っていたように「トレードオフ」ということで、今回の福島原発事故を見て、なおも原発を受け入れるほうがメリットが大きいと有権者はそう判断したのだな。(もちろん、原発反対の有権者もいるだろうが)
子どものガン発生率については無害説を信じているのかもしれない。あるいは「分からない」ので心配するようなことはしないのかもしれない。
原発を受け入れるかどうかは、結局はその地元住民が判断することになるのだ。


http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51817203.html
「原子力で命を守りたい」

↑と、あくまでも「死亡者数」で比較し、原発は安全、という論理を展開。ただ、原発反対派も石炭や石油の火力に依存しようとは言ってないだろうが・・・それに、昔の技術で、昔から長くやっているものは、その分、当然「犠牲者数」は多いだろうとは思う。

さて、この方はドイツ環境省が公表したという「原発5キロ圏内の子ども達の発ガン率が高い」ことを、どう見るのだろうか。もちろんそれが、「正しいデータ」かどうか分からないけれど。
同様、「犠牲者数の比較」も正しいデータかどうか分からないということになる。
そして被曝による死亡者は・・・後にガン死したとき、それは被曝によるものかどうか分からないということでカウントしてないのだろう。


http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51815024.html
「日本政府の安全基準の決め方」

↑どのくらい被曝量でどのくらいのリスクがあるか、参考になるだろう。とにかく、いろいろとデータがあるんだな、ということで。いえるのは「低量線被曝についてのリスクは、よく分かっていない」よって「過剰な反応はしないほうがいい」ということかもしれない。

ところで「奇形云々」であるが・・・確かに、池田氏が批判していた武田邦彦教授のブログに「チェルノブイリで被曝した少女が後に奇形児を産んだ」との記述があった。
ただし、「被曝した女性が産む子どもの中で、奇形児の割合が増えた」とは書かれていなかった。

チェルノブイリでも、奇形児の数と被曝は関係なく、奇形児に関しては被曝の影響はない、というのが正しいようにも私も思う。(私は生物学に関して全く無知ですが)

とすると、たしかに武田氏のブログは誤解を生む記述があったかもしれない。
これは「風評被害」を生む書き方だ、と言われても仕方ないように思う。(被曝した若い女性は結婚するとき、敬遠されてしまうかもしれない・・・ま、ウワサを信じ、科学的な考えが出来ない相手など結婚相手に選ばないほうがいいだろうけれど・・・)
それとも被曝することによって、奇形児が増えるとの明確なデータがあるのだろうか?

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というわけで、私は、ゆるやかな脱原発を期待しているが・・・

やっぱり放射性廃棄物の最終処理の問題がある・・・それでも、池田氏の言うとおり、「だったら、砂漠など使えない広大な土地を持っている途上国に、開発援助と引き換えに、放射性廃棄物をひきとってもらう」という考えもあるのだろうが・・・
(つまり、途上国に「押し付ける」ということでもあるが、その分、金を払うんだから、ということで経済的には合理的な考えなのだろう・・・)
けど、途上国がそれをちゃんと危険がないよう処理するかどうかは分からない。

原発誘致候補地域の有権者が「原発を受け入れる」と判断したのであれば、それはそれで尊重しないといけないだろう。

4月24日福島県敦賀市の市議選では脱原発を訴えた市議が得票を減らし、市長選では4候補全員が「原発との共存」を姿勢で、現職が5選したという。
もう原発の「安全神話」は崩れた後であり、事故の可能性はゼロではないことを知りつつも、経済性を考え、原発との共存を選んだということで、そういう考え方ももちろんありだろう。
福島の事故をきっかけに、さらに安全性を高めようとするだろうから、事故の起こる確率はきわめて低いのだと判断したのだろう。

被曝による健康の被害であるが・・・これはもう「どのデータを信じるか」で違ってくるのだろう。
ドイツの環境省のデータを信じれば、子どもの命を犠牲にする可能性もあるのかもしれない。
20ミリシーベルトあるいは100ミリシーベルトまで大丈夫だと信じる人、喫煙や飲酒に較べたら被曝は怖くないと思う人、さまざまだろう。
あるいは、原発が大事故を起こす可能性は低いのと同じように、被曝によってガンになる可能性は案外低いと考えている人もいるだろう。ガン発生率が微増程度であれば、それよりも経済性を優先したいと考える人もいるのだろう。

気をつけたいことは、支持しない説やデータ、考えを「デマ扱い」「詐欺扱い」「馬鹿扱い」したりせず、対話や議論を打ち切ったりせず、また自分が支持する説やデータ、考えを洗いなおすことが大切なのかもしれない。

自分が支持する説を裏付けるデータは果たして「正しい」といえるのか、である。

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noga

首相は、核のない世界をめざせ。
さすれば、ノーベル賞も夢ではない。


by noga (2011-05-02 18:27) 

yeelee

ベラルーシにおける胎児の先天性障害頻度に関するレポート
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Lazjuk-J.html
のデータは、奇形児のリスクを指摘しています。
反原発側の見解ではなくても、妊娠8~15週の期間に120mSv以上の被曝で奇形リスクが顕著であることが一般的に認められています。被曝による影響は年齢が低いほど大きく、もっとも影響が大きいのは胎児というわけです。
これらは厳密には遺伝異常ではなく、胎内被曝であり、奇形が次の世代へと遺伝されていくわけではないという意味で「遺伝しない」と言えます。レトリックとしての「遺伝しない」は誤っていないということです。

「原子力で命を守りたい」との記事ですが、時間軸にトリックがあります。
ロンドンスモッグのあった年代を調べてみてください。このころはまだ発電技術も黎明期で、原子力は発見されておらず、時代的にまだ人命は軽視されていました。現代の火力発電所には脱硫装置がついており、先進国の火力発電所なら燃料のエネルギー効率は50%にも迫っているのです。
一般化すると、より昔から使われていたエネルギーほど、その当時に沢山の死者を出しているので、それを含めて積算すれば、昔からのエネルギーほど危険に見せることができるというトリックです。仮に石炭より原子力が先に発見されていれば、ロンドンスモッグは亜硫酸ガスではなく黒い雨だったかもしれない訳ですね。さらに極論を言えば、人類最古の動力である人力が最も多くの死者を出しているでしょうし、馬力も膨大な死者を出しているはずです。単位の1TWh当たりというのを3600TJ(ジュール)当たりに直せば比較可能です。いまだ解決策なしの放射性廃棄物が未来に犯すリスクが不確定で算定に入っていない点にも注目されます。
もう一つは、政治軸に見られるトリックです。現在でも中国などで炭鉱事故でたくさんの人が亡くなっているそうですが、これは非ODCE諸国が人命軽視した採掘を行うのが原因であり、火力発電が原因ではありません。ODCE国内で人命を重視した石炭採掘を行ったり、非ODCE諸国が人命軽視したウラン採掘をした場合を想定してみてください。
ちなみに石炭は製鋼、石油は化学製品などにも使用されているので、原発にシフトしても採掘は止まりません。また石炭には放射性物質が含まれていて大気汚染をより危険なものにしているというのは、当然ながら、原発による大気汚染の危険性を補強する話でしょう。
しかし残念ながら、原発の最大の必要性というのは、石油の地政学的リスクのヘッジであり、これは形を変えた冷戦なのです。よって冷戦の人命軽視の秘密主義がはびこるのです。いる・いらないではなく、戦争が行われているのだと考えると、色々と説明がつくわけです。
by yeelee (2011-05-05 00:20) 

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