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結婚できないという恵まれた主人公たち>家族ノカタチ(ドラマ) [本・テレビ番組・ドラマ・映画・マンガ・アニメ]

日曜のドラマ「家族ノカタチ」を楽しく見ている。

ドラマってお仕事ものなら見ることあるけれど、家族もの恋愛ものは見ない。どこか「きれいごと」だったり、現実味がまるで感じられず白けることが多いので。

けどこの「家族~」は「結婚できない男」と同じ匂いを感じ、見始めた。
ただやっぱり「結婚できない男」と同じく、主人公たちは高収入、仕事が充実している、容姿もいい、ということで、この恵まれたキャラに共感できる同世代がいるのだろうか、とふと思ってしまった。

「結婚できない男」の主人公らは、バブル世代と重なるので、共感した人も多かっただろうけど。
「家族~」の主人公らは、氷河期世代じゃないのか? 遠いセカイのお話に感じる人もわりといるかも。
やっぱりテレビドラマはファンタジーの世界だな、厳しい現実はあまり見せずに楽しく、夢の世界を提供するのが基本なのかもな、とふと思ってしまった。

で、今回放送分(2月19日)。
ああ、この手のお話では非モテブサって、軽く描かれるよな、とつくづく思ってしまった。

「家族~」では非モテのブサメン同僚が婚活で詐欺に遭いそうになり、結局、難を逃れたわけだけど、なぜかすぐに立ち直る。
まあ、深刻に描いても、見る方は嫌な気持ちになるだけだから軽く流し、非モテ・ブサは深刻な傷を受けることなく、異常に前向きに描かれるんだろう。でも、うざいほど前向き・・・。なので共感できない。

これで、ふと椰月美智子氏の「恋愛小説」に出てくる、不細工で気持ち悪いとされるオタク女子の「ジェロニモさん」や、ブスだけど積極的でやりマン化してしまった「かおるさん」を思い出した。
この小説の物語も「世間の基準から外れた、世間の価値観から見て容姿の劣る人、非モテ」キャラが、なぜかうざいほど明るくて前向きで、さほど傷つかず、積極的なのだ。
あまりにうざいので、こちらもやはり共感もできない。
共感できないように描いているのか?、とすら思うほどだ。

「家族~」は、この「恋愛小説」ほどに非モテに対し意地悪ではないが、ここでも非モテ・容姿の劣る者を哂いものにしているな、哂いものにできるように、キャラをすぐに立ち直らせて明るく積極的な性格付けにしているんだな、とふと白けてしまった。

※ただ「家族~」の場合・・・例の同僚は非モテ・ブサだけど収入は良さそうなので、あれだけ積極的で、ふられてもめげることなく結婚に前向きなら・・・理想が高くなければ誰かいるだろう。

いやあ、「家族~」の『独りでいたい、傷つきたくない』という主人公、けれどモテるし、彼女もいたことがあるし、高収入で仕事も充実し、容姿もいい・・・という設定。
だから深刻にならず、楽しい物語になるのだろう。

もしこれが、非モテ、恋愛もしたことない、低収入、仕事がつらい、容姿に恵まれない、という設定のキャラだったら・・・「傷つきたくない」という言葉もすごく現実的だ。それまで人から散々傷つけられてきただろうから。

「家族~」の主人公は結局は「優しい人」としての「傷つきたくない」であり、世間でいうところの勝ち組でもあり、周囲も放っておかない。
人から自尊心を傷つけられたことはないのだろうから、この場合の「傷つきたくない」はきれいごとで軽いなあ、とも思った。

そんなファンタジーではなく、現実的なお話も見てみたいけど、テレビドラマでは無理なんだろうな。
なので、もっぱら私は「小説派」なのだ。もちろん小説もファンタジーが多いけれど、たまに「おお、これは」という小説に出会うことがある。

たとえば・・・
朝比奈あすかの「自画像」
窪美澄の「雨の名前」(短編集。非モテキャラは3話目。しかし他のお話もなかなか。つまり「きれいごと」がなく、安易にハッピーに持ち込まない)

もちろん「自画像」はご都合主義のところもあるけれど、自尊心を傷つけられコンプレックスに苛まれる人間の心理描写が逸脱だ。

現実から離れた演出=世間でいうところの「冴えない人」「気持ち悪いとされる人」「容姿の劣る人」「異性に相手にされない人、非モテ」なキャラが性格が明るく積極的で、馬鹿にされても哂いものにされても気にせず、うざいほどに人に絡み、深刻に悩んだりしないので・・・主人公含め周囲のキャラは安心して、「そいつ」をバカにする(「恋愛小説」)、または読者・視聴者を哂わせようとする物語(「家族~」)に、違和感を持ってしまう。
いや、それが何となく「イジメの空気」にリンクする気がするので。

罪悪感を持たずに心置きなく「そいつ」を笑い者にするには、「そいつ」が深く傷ついてしまってはやりにくい。
だから「そいつ」は深く傷ついていないとしたいのだろうけど、それっていじめっ子の心理に似ている気がする。

だから「家族~」のあの非モテキャラは、笑えない。あそこまで明るく前向きなうざいキャラにして、なんか痛々しい。ま、現実に、あんな人間はいないけれど、だからこそ、わざとらしい非モテキャラの描かれ方に製作者側の「哂い=いじめ」体質を見る気がして、楽しい気分になるどころか、あの非モテキャラが出てくると白けてしまう。

結婚しなくてもいい、独りでいてもいい、というような今までにないテーマのドラマを期待していたけどそうではなさそう^^;
結局、結婚=良し、独り=良くない、人と深く関わろう、結婚しよう、結婚して幸せ、結婚を怖がらないで、というありきたりなテーマになるんだろうか。

あ、そうそう、結婚は置いておいて、子どもを持つことについて。
「子どもを持たない人生を選んだ」という山口智子がちょっち話題になっていたっけな。
https://news.careerconnection.jp/?p=20978
【山口智子の「産まない人生」宣言で考える 子どもを持たない選択した女性にも優しい社会】

子どもがいる=幸せ、子どもがいない=さびしい、この価値観はそろそろひっくり返ろうとしている気はするけれど。(小説レベルでは、子どもがいる厳しさ、不幸を描くものが出ているが、テレビドラマでは絶対に描けないだろう)

既存の価値観をひっくり返すような、そんな物語に出会いたい。それは小説で出会うことが多い。

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