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【ネタバレ注意】椰月美智子の「恋愛小説」(オタクやブスを悪しざまに描写)にうすら寒さを感じた [本・テレビ番組・ドラマ・映画・マンガ・アニメ]

椰月美智子の小説―『恋愛小説』を読んだ。
何というか、わりとえげつなかったんで、話題にする^^

ただ、ほかの人の感想を見てみると、私が気になったところは注目していなかったんで、たぶん、私の感覚がおかしい、被害妄想なのだろう。
ということで「私=ハヤシさんの感覚がおかしいかもしれない」ということを前置きしておく。

私はオタク寄りだから、どうしても「オタクの味方」をするし、「オタク」の肩を持つ。
なので恋愛至上主義者の女性も苦手。彼女らもオタクが嫌いで、理解不能の存在だろう。ま、お互い様である。

世間では・・・オタクはだいぶ、認められてきたとはいえ、それでもバブル期の「オタクは気持ち悪い、人間として問題がある、犯罪者予備軍」という空気も生きている。

あの反差別を訴える「しばき隊」や在日の一部も、「オタク死ね」「オタクは嫌い」と言い、民主党議員の有田芳生氏も、「オタク死ね」というイラストを自らのツイッターにRTしてアップしたくらいだ。

それくらい一部の一般人に「オタク」は嫌われ、平気で【オタク死ね】と言える雰囲気が、今もなお残っているのだ。

【在日死ね】と言ったら、そりゃあもう、言った方は「レイシスト」と周囲から攻撃されるけど、オタクへの悪口は許されているのである。

おっと、話がずれた。

要するに、オタクはまだまだ世間では嫌われているし・・・もちろん、バブル期の恋愛至上主義者たちからも嫌われているだろう。

だから、『恋愛小説』を書いた椰月さんも、ああいった描写をするのだろうか、と、とても嫌な気分を味わった。
そのことについて語る。

以下、椰月美智子氏の『恋愛小説』についての感想・ネタバレです。

『恋愛小説』は20代前半の主人公の女の子・美緒が登場する。

しかし美緒は、大好きな彼氏・サスケが、昔(主人公・美緒とつきあう前だよ)、【気持ち悪い不気味な女性・不細工なジェロさん】と、1回だけ何となくエッチしたことについて執拗にこだわる。

ハヤシはそこが理解不能だった。

美緒は、【不細工でオタクなジェロさん】とサスケがエッチしたことが、ことさら気持ち悪く、許せず、その場面を想像すると吐き気を催す食らいに不快になるのだ。

作者による「ジェロさんの描き方」が、また、えげつない。

まず、ジェロさんについての個性を説明すると・・・こんな描かれ方がされていた。

【アニメ好きの女子たちの同好会を想像してほしい】
【同人誌に漫画を描いていた】
【華やかな女子の中で異質な存在】
【流行に流されることなく、自分が興味あることだけに心血を注ぐ】
【流行の服や靴に興味ない】

つまり、全くおしゃれではなく、ダサくて、漫画を描いているオタク。
おしゃれでキレイな女の子たちから浮いている存在だ。
うむ、ワシに似ておるな。

で、ジェロさんの容姿の描写も、散々なものだ。
不細工、ブス、デブ(大柄)であり、【全体的な印象として「不潔」に尽きる】とある。

ジェロさんとは、【ジェロニモ】の略であり、
アメリカインディアンのシャーマン、あるいは「009」の005のジェロニモ、「キン肉マン」のジェロニモに似ていたので、そういうあだ名が付いた、となっている。

しかし、なぜかジェロさんの性格は堂々としていて、明るい。

ちなみに、ジェロさんに対する周囲の評価は・・・
【ジェロさんと喧嘩になったところで、ジェロさんは気に病むことがない人、二度と会えなくなっても何ら支障がない人=どうでもいい人、嫌われてもかまわない人】だ。

なのに、周囲は【親愛の情を含め『ジェロさん』と呼んでいた】と神視点で説明されている。

・・・いや、おかしいだろう。
あきらかに、ジェロさんは周囲から蔑視されている。親愛の情などあるはずない。【どうでもいい人】とされているのだ。
そして、そんな扱いを受けているジェロさんの性格が明るいはずがない。
が、作者は、そういう性格づけをした。

ジェロさんは、不細工で大柄で、周囲から蔑視されているオタク女子。

けれど、性格を明るくしておかなくては、ジェロを悪しざまに思う主人公・美緒がとてつもない「悪」になってしまうので、ジェロさんの性格を明るくし、横暴にしたのだろう。

そう、ジェロさんが傷ついている描写は一切ない。
もし、傷つき、陰で泣いている描写があれば、私は「恋愛小説」に嫌悪感を抱かなかっただろう。

作者は、神視点で【ジェロさんのことを悪く言う人はいなかった】と説明しながら、一方で【周囲からは『どうでもいい人、誰にとっても都合がいい人』に思われている】と説明し、【ジェロさんが周囲から全く好かれていない】ことを、作中で臭わせている。

そして、そのジェロさんと、サスケはエッチしたけれど、ほかの男性は、そんなサスケに驚き、「自分はジェロさんとはできない(勃たない)」と言う。

もはや、ここまでくると、ジェロさんは女性ではなく、珍獣のような扱いだ。

作者の椰月美智子さんは、オタクが嫌いなのだな、と思った^^
何だか作者の「オタクに対する悪意」さえ感じてしまった。

そして【ジェロさんに対する気味の悪さ、気持ち悪さ、不気味さ】は、主人公・美緒および神の視点で描かれていく。

けど、恋愛に生きる容姿に恵まれた女の子が、自分の彼氏が以前、不細工なオタク女子と1回限りの愛のないエッチしたことを、そこまで気にするだろうか???

とにかく、げんなりするほど、美緒はそのことを気にして、彼氏を責めたてるのだ。

その彼氏、ほかにもいろんな女の子とエッチしているのだけど・・・
主人公は、彼氏が昔、【不気味なオタク女子と1回エッチしたこと】が、ことさら許せないらしいのだ。

私は理解不能だが、そんな女の子、いるんだろうか???

そして、【皆から、本当は蔑視されている(愛されてなどいない)容姿に恵まれないオタク女子】が、男性に対し、積極的に誘い、明るい性格で、横暴で、堂々としているなんて、ありえない。

そんなオタク女子はいないのでは???
実際は、世間の冷たい視線から逃げるようにして生きているだろう。

まあ、けど、一人くらいはいるのかもしれない???
ジェロさんのような容姿に恵まれず、不潔な感じの気持ち悪い、皆から陰で馬鹿にされ、しかし明るくて横暴なオタク女子が・・・???

そしてそんなジェロさんには、お似合いの彼氏がいた、という。
その彼氏とは・・・【彼ら(ジェロさんと彼)からは同じ匂いがした。独特の趣向に位置する人たち。彼らはいまどき流行らない洋服を着ていた】と作者は神視点で語らせる。

ジェロさんの彼氏も【容姿に恵まれない、冴えないオタク】という描写がされている。

ジェロさんのセックスシーンも、醜い描写がされ、嘲笑、侮蔑が感じられるほど、悪意に満ちている。少なくとも私はそう感じた。

「容姿に恵まれない、おしゃれでもない、オタク女子はひっそり生きろ、出てくるな、サスケのようなある程度容姿のいい男性とエッチするな、自分にふさわしい気持ち悪いオタク同士でひっそりとエッチしろ、周りにその醜い姿を晒すな、というかエッチもするな、とにかく気持ち悪い」

・・・と作者の椰月さんは・・・小説の中で言っているみたいだった^^;
そう、作者は【恋愛に生きるかわいい女子・美緒】にそれを代弁させているのだ。

実際、美緒の視点で描かれた【ジェロさんの気持ち悪さ、醜さ】がこれでもかと言うくらい、何度も繰り返し出てくる。

ジェロさんとサスケの1回限りのセックスシーンを想像する度に、主人公・美緒は吐き気に襲われる。
読んでいる方もげんなりするくらいに。

何だか【容姿の劣るオタクへのイジメ】を見ているようだった。

世間の流行に背を向け、自分の趣味にまい進するオタクを、不気味、気持ち悪い、醜い=吐き気を催す人たちと位置付けているのだ。

この『恋愛小説』を読んで、ブスやオタクに対する作者の底意地悪さとうすら寒さを感じた。
(ちなみに作者を写真で見たが、ほっそりとした美人)

その上、不細工な登場人物の女性はジェロさんだけではなく、もうひとり出てくる。「宇多川かおる」だ。

こちらも容姿描写は悪しざまに書かれている。
で、なぜか、こちらも性格は明るく、堂々としている。男性たちからは陰から侮蔑されているにも関わらず・・・。
つまり鈍感。己の容姿の醜さを分かっていない。

・・・そんな描写がされている。

ジェロさんと同じく「かおる」も、デブ、目が小さい、エラが張っている・・・らしい。

現在の「ブスの基準」に当てはまってしまう女性が、己の醜さを自覚していないなど、ありえない。普通は劣等感に苛まれ、性格も暗くなりがち、積極的に数々の男性にアプローチするなど、まあ、ないだろう。

けれど、作者は、ありえないキャラ設定・描写をする。

そして、このもう一人の不細工・宇多川かおるは、彼女にお似合いの不細工な冴えない彼氏を振り、会社の男性たちを積極的に誘いまくり、「やりまん」になっていく。

会社の男性たちは、ジェロさんよりはいくらか容姿がマシな「かおる」に対し・・・
かおるから誘ってくるし、断るのも悪いから、仕方なくエッチをする。
やりたいというよりも、まあせっかくなので、やっておくか、という感じ。

「かおる」は、男性らから全く好かれていないし、愛されないし、ただのセックスマシーンに描かれる。

最後のほうの「かおる」の描かれ方はこんな感じ。
【日々、男性経験を増やすことに邁進し、少しでも好条件の男との結婚を夢見て孤軍奮闘している】

作者の『ジェロさん』『かおる』の描かれ方は、嘲笑・侮蔑しか感じられない。
その底意地悪さに辟易した。

そして、不細工な女性を、悪しざまに描けるようにと、彼女たちの性格付けを『横暴』『明るい』『物おじしない』『男性に積極的にアタックする』『下品』『セックス大好き』『己の醜さを自覚していない勘違い人間』にしたのだろう。

けど、容姿がそこまで醜く、周囲から侮蔑を受けまくっていて、そんな性格はありえない。あまりに特殊すぎる。
しかし、そんな特殊な人物を、2人も登場させたのだ。

作者の椰月さんは、『不細工で、世間の流行に背を向け、おしゃれではない女性』が、大っ嫌いなのかも、と穿った見方をしてしまった。
小説の中で、主人公やまわりの登場人物に、徹底的に、侮蔑と嘲笑を織り交ぜた反応をさせるのだから。

そう、主人公美緒は、ジェロさんに対し、「オエっ」と吐き気を催すのだ。
「オエっ」だ。作中に、その言葉が出てくる。

子どものいじめにもあるよなあ。
いじめっ子たちが「オエっ」と吐く真似をし、ばい菌扱いをするイジメ。

もしかして、椰月さん、過去に『不細工なオタク女子』を気持ち悪がり、いじめた側かもしれない。そして、それをちっとも悪いことだと思っていないのかも。そんな邪推さえしてしまう。

スクールカーストで最下層に位置される人たち・・・その子たちを虐め、蔑視し嘲笑する・・・それをさほど悪いことだと思わない人たちは結構いるかもしれない。大人を含めて。

・・・と『恋愛小説』を読んで、オタク・デブやブスに対する底意地悪さ、悪意、作品へのうすら寒さを感じた。正直、ぞっとした。

容姿に恵まれない女性に、あり得ない性格付けをし、醜いセックスをさせ、周囲からから侮蔑と嘲笑を受ける様子を描写する。
フォローしているようで、全くフォローしていない。

男性作家も、ここまで『デブ・ブス女性』を悪しざまに描く人はいないのではないだろうか。
女性作家のほうが残酷で、ひょっとしたら、『デブ・ブス』『オタク』が嫌いで、『表に出てくるな』『目障り』と、男性以上に思っているのかもしれない。

この椰月美智子の『恋愛小説』・・・『オタクやデブやブスに対する虐め小説』と私は捉えている。

いやあ、改めて、恋愛至上主義者が怖くなった。
オタクへの苛めをいじめと思っておらず、悪いこととも思っていない。虐められる方が悪いと思っているのだろう。

でも、虐めはやめてほしい。
人を著しく傷つける悪どい行為である。

周囲から蔑視されている「オタクやデブス」の性格が異性に積極的で横暴で明るいはずがない。
相当の傷と劣等感を抱えているはずだ。

けど、周囲から侮蔑されている容姿の劣る女性が傷ついている様子を一切描くことなく、ひたすら醜く、気持ち悪い描写をし・・・それを正当化するようにありえない性格付けをし、オタクや容姿の劣る女性を、悪しざまに描いた作者・椰月美智子氏に違和感を持った。

『恋愛小説』は、オタクや容姿の劣る者へのいじめを正当化しているような小説だった。

でもそれが世間の本音かもしれない。

ブスやオタクは引っ込んでいろ、気持ち悪い、セックスするな、お前らに恋愛など似合わない、エッチも似合わない、おぞましい、吐き気がする、お前らに似た醜い子供をつくるな、おえっ、キモオタ死ね、早く死ね・・・そんな声が聞こえてくるようだ。いやいや、頭のおかしいハヤシさんの被害妄想かもしれないがw

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