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原発推進派?による被曝被害考察に対する反論 [原発・被曝関連]

今回の原発被曝についても、いろんなことが言われているようだ。
「微量の放射線は無害」「むしろ健康に良い」という記事も見かける。

そこで、原発推進派か反対派か、というのは置いておいて、「微量の放射線は有害か?無害か?」ということで、いろんなサイトや記事を紹介してみる。

(なお、今回の記事は、ほとんど池田信夫氏に対する反論めいたものになってしまった・・・)

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○微量の放射線による健康被害について

池田信夫氏は「微量の放射線は人体に無害である」http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51701936.htmlと言っている。
勝間和代氏も「チェルノブイリのデータ」を用い、子どもの甲状腺がん以外では、ガンの発生率も変化なし、ということで、子どもに対する放射性ヨウ素内部被曝に気をつければ、健康被害はない、と。

しかし総合工学研究所所属の元内閣府原子力委員会専門委員だった武田邦彦氏のブログhttp://takedanet.com/を読むと、やはり微量でも被曝しないに越したことはなさそうだ。
そして、「きっこのブログ」では、原発の近隣住民のガン発生率の高さが指摘されている。

また、当ブログ「原発被曝健康被害」http://kayashi.blog.so-net.ne.jp/2011-04-17でも紹介したが、
慶応大医学部放射線治療科医師の近藤誠医師も「100ミリシーベルト以下の放射線量ならば安心というのは嘘」http://gendai.net/articles/view/syakai/129864と発言し・・・
「05年に英国の有力医学雑誌に掲載された15カ国の原発労働者40万人を追跡調査したリポートでは、50mSv以下の被曝線量であっても発がんリスクが高まると報告されたのです」と言っている。

日本経済新聞では、年間100ミリシーベルトで、受動喫煙なみのリスク、と言っている。
(ちなみに「年間60ミリシーベルトで、喫煙者なみのリスク」と言っているところもある・・・ん?受動喫煙のほうが100ミリシーベルト被曝?受動喫煙のほうがリスクが高いというのは???喫煙者のほうがリスクが低い?ということで、数字もずいぶんあやふやである・・・)

低レベル放射能が人体に与える悪影響についての検証についてhttp://fujiwaratoshikazu.com/2011disaster/というデータもあり、こちらも「悪影響を与える」と言っている。

反対に、こんな記事もある。
「少量の放射線はむしろ健康にいい」と。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5846?page=2

以下、編集抜粋、転載。
・・・・・・

どんな微量の放射線でも危険であれば、日本各地にあるラジウム温泉などは有害で湯治どころではないはずだ。また成層圏を飛ぶ旅客機などは地上の150倍の放射線を浴びている。

毎日、強い放射線を浴びているパイロットやキャビンアテンダントなどはがん患者が続発しているはずだが、そういう話は聞かない。(東京―ニューヨーク間の1回の往復で200マイクロシーベルトの放射線を浴びるという)

温泉以外にも世界には自然放射線のきわめて強い地域が存在する。例えば中国の広東省陽江県の自然放射線は年間6.4ミリシーベルト、ブラジルのガラパリの海岸では最高6ミリシーベルト、アフリカのある地方の場合は10.2ミリシーベルトにも達するそうだ。
だが最近の研究では、これらの地域でのがん死亡率は通常の地域よりも少ないそうだ。

そして、療養に適した温泉の被曝量は年間30ミリシーベルト。

また、これまで報告されている限りでは、250ミリシーベルト以下の被曝で治療が必要と認められた症例は1つも存在しないという。

・・・・・・
転載終わり。

もしも、これが本当であれば、前記事「原発(その9)恐ろしい日本政府」http://kayashi.blog.so-net.ne.jp/2011-04-25で書いた「子どもが年間に浴びていい放射線量は20ミリシーベルトまでに基準値が引き上げられる」ことについて、騒ぐ必要などない、ということになる。

しかし「原発の周囲のガン発生率が高い」という記事もある一方で、
こちらは「自然放射線の強い地域はガン発生率が低い」とのこと・・・

ただし、あくまで「自然放射線」なのである。先祖代々この土地に生きてきたということで、おそらく体質的に「放射線への耐性」が高いのでは、と素人ながらに推測する。
それに、自然放射線量が高い地域での、ガン発生率がどのくらい低いのか・・・明確な数字が出されていない。

一方、原発周辺住民のガン発生率について、こういったデータもある。
「原発周辺のガンの危険性(ドイツ連邦放射線防護庁)」
http://www.priee.org/modules/pico2/index.php?content_id=12

そして、上にも書いたとおり、「全国15カ国の原発労働者40万人の調査では、50ミリシーベルト以下でも発ガンリスクが高まっている」との結果が出たというのだから・・・

これを見ると、自然放射線と原発から排出される放射線は分けて考えたほうがいいのでは、とさえ思う。
それに・・・何しろ、原発は「自然界にはないプルトニウム」があるのだし・・・と素人の私は考えてしまう。


それでは、「微量の放射線は無害だ」という池田氏の記事より、
以下、編集抜粋、転載。
・・・・・・
○微量の放射線の影響は癌にかかる確率が上がるだけなので、検出がむずかしい。日本人の約50%は癌にかかるので、特定の母集団でそれが1%上がっても誤差の範囲に入ってしまうからだ。

○紫外線が遺伝子を傷つける力は強いため、生物は遺伝子を補修する機能をもっている。したがって、いま生存している個体は放射線による遺伝子の破壊には強いと考えられる。むしろ微量の放射線は細胞を活性化させて健康になるというホルミシス仮説もある。

○被爆者のデータでも200ミリシーベルト以上では線形の関係(発ガン率)が見られるが、それ以下では見られない。(※ハヤシ記・・・200ミリシーベルトまでの被曝であれば、健康被害はない、ということを言いたいのだろう)

・・・・・・
転載終わり。


微量の放射線を浴びたからといって、パニックになるほどのことではないことは承知しているし、年齢が高ければ、何十年後かにガンになったところで、それは老化によるものである可能性も高い。

ただし、外部被曝と内部被曝は違う、ということで、怖いのは内部被曝だと、専門家含め他の方たちは言っている。
池田氏の記事に対する他の方のコメントにも、そのことが指摘されている。
そして、上でも紹介したが、同じコメント欄にて、リンクされていたものを改めて紹介。

・ピッツバーグ医科大学放射線科の放射線物理学名誉教授アーネスト・スターングラス博士による低レベル放射能が人体に与える悪影響についての検証。
http://fujiwaratoshikazu.com/2011disaster/

・原発周辺のガンの危険性(ドイツ連邦放射線防護庁)
http://www.priee.org/modules/pico2/index.php?content_id=12

ということで、上の方にも書いたが、原発周辺のガンの発生率は高い、とのデータがあるのだ。
このことについては、池田氏はどう考えるのだろう。

また「200ミリシーベルト以下であれば、発ガン性との相関関係が見出せない」との説だが、慶応大学の放射線治療医師の近藤誠氏は「100ミリシーベルト以下」という説を紹介している。

こんなところでも数字の違いがある。
200ミリシーベルトまでなのか、100ミリシーベルトまでなのか・・・「あやふや」である。

池田氏は「直線仮説(LNT仮説=微量でも被曝すれば発ガンリスクがある)は科学的に実証されていない」と言い、「200ミリシーベルトまで無害」と信じているようだが・・・

「100ミリシーベルトまでなら無害=つまり100ミリシーベルト以上からリスクが高くなる」という説もあるのだから、この数字の違いに、「低放射線被曝無害説」も本当かどうか分からない、ということになる。

そして、池田氏の否定する直線仮説(LNT)は、国際的に権威のある、米国科学アカデミーの委員会(BEIR)や国際放射線防護委員会(ICRP)らが支持しており、国際的には「直線仮説」(LNT)が有力とのこと・・・

近藤誠氏など「低線量被曝でも発ガンリスクはある」という放射線を扱う専門家医師、米国科学アカデミー委員会、国際放射線防護委員会を簡単に否定していいのか?と思ってしまうのだ。

そう、データや専門家の仮説がこれだけ違うのである。

よって、ガイガーカウンターをソフトバンクのショップに置こうとしている孫正義氏を「不安を煽っている」と批判できないのでは、ということである。孫正義氏は直線仮説(LNT)を支持しているのだろう。

もちろん、池田氏が支持する説も、放射線基礎医学の専門家による仮説なのだろうから、ひょっとしたら池田氏の言っている「低線量被曝無害説」のほうが正しいのかもしれない。

でも、まだ不確かだ、ということである。
「低線量被曝は無害だ」という説もある、ということしか言えないのだ。
少なくとも、放射線関係の専門家でもない池田氏は、「直線仮説」(LNT)を否定する根拠は持ち合わせてはいないはずだ。

ただし「低線量の放射線をやみくもに恐れることはない」ということが言いたかったのだとすれば、それは大いに同意する。

ちなみに、池田氏が支持している「低線量被曝は無害」という説が書かれた本を紹介しておく。


アマゾンのレビューも参考になるだろう。データの信頼性に疑問との声もある。

専門家ではない素人の私たちが、これら専門家の説を正しく判断できるのか・・・
どこかに数字の操作はないか、都合の良いデータをもってきているのではないか、どういう条件の下でデータが作られたのか、などなど考えないと、騙される可能性もある。

果たして、微量の放射線は、人体に害があるのか、ないのか・・・

「日本人の50パーセントはガンになる」というけれど、これは老人を含めているため、半分がガンになるという数字になるのだろう。

老化によるガンなのか、被曝したためにガンになったのか・・・

なので、40代までの日本人ガン発生率と、同じく、被曝した人の40代までのガン発生率の数字、そして原発周辺住民の40代までのガン発生率が知りたい、とも思った。

40代でガンになる人は、全国的に見れば少ないだろう。
少なくとも、40代までのガン発生率は、50パーセントではないだろうから。
そして、喫煙していたかどうか、ということも含め、被曝に関する詳細なデータをとったほうがいいと思うが・・・

「微量の放射線は無害である」と言えるデータが、ほんとうに正しいのか、数字の操作はなかったか・・・
もちろん反対に「低線量被曝でも健康被害がある」というデータにも言えるだろう。

ま、原発の近くに家族(子ども)と共に住んでいる研究者が「低線量被曝しても無害」と言い切っているのであれば、その人の言うことは信じられるかもしれない。

つまり「低線量被曝しても無害だ」と、安全な場所から言われても、いまいち信用できないのだ。

近藤誠医師もこう言っている。
(1)被曝線量が100mSv以下だと発がんリスクはほとんどないが、それを超えると急上昇する「しきい値仮説」、(2)100mSv以下でも被曝線量と発がんリスクが増大する「直線仮説」・・・
(1)は放射線の毒性を軽く見せたい原発やがんCT検診の推進派が、(2)はその反対派や中間派がそれぞれ支持してきました。

なので、原発推進派・擁護派・容認派は「しきい値仮説=低線量被曝は無害説」を、原発反対派は「直線仮説=低線量被曝でも発ガンリスクあり」(LNT)を、自分の考えに都合の良いデータや仮説を支持しているのかもしれない。

ただし、老人については、低線量被曝の影響はそれほど考えなくていいのかもしれない。
被曝よりも、老化によって病気になる可能性が高い。
そして、低線量被曝よりも、避難所暮らしで健康を崩すリスクが高い気がする。

福島原発事故によって避難を余儀なくされている住民に、選択権があってもいいのでは、と思う。
健康を崩しかねない避難所暮らしを考えれば・・・避難しないほうが、老人にとってはリスクが低いかもしれない。

老人と、子どもや若い人と、リスクは同じではない、というのは分かる。

よって、失礼ながら老人に近い年齢といっていい池田氏に「低線量は無害」と言われても・・・とも思ってしまう。
同じ被曝量でも、赤ちゃん・子ども・若者と、中高年以上の年齢の方とはリスクが違うのでは、ということで。

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○コストについて

原子力予算と同じだけのお金を代替エネルギー開発にまわすだけでも、だいぶ違うだろうと思うのだが。
原発を受け入れる地域には、それはそれは膨大な額の交付金を渡すというのだから、そういったコストを入れれば、原発は安いとは言えないだろう。
ほか、使用済み核燃料の処理代も入れれば、ほかのエネルギーコストよりも上回ってしまうだろう。
そして、安全性を高めるためのコストももっともっとかけないとならなくなる。

池田信夫氏のブログhttp://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51699243.htmlに書かれてあったが、原発の安全性を高め、リスクをゼロにすることは工学的に可能だが、それをすると、火力発電よりもコストで競争できなくなる」とのことだ。

以下、抜粋転載
・・・・・・
「炉心溶融のリスクがある軽水炉は工学的には危険な技術で、リスクをゼロにするには、出力を数万kWぐらいに落として炉心溶融しても圧力容器が壊れない設計にすればいいが、それでは規模の利益がなくなって火力とコストで競争できない」ということである。つまり軽水炉でリスクを工学的にゼロにすることは可能だが、それでは原発は経済的に成り立たない
・・・・・・
転載終わり。


ということは、「原発はコストが安い」というよりも、コストを下げるために安全性を犠牲にした部分がある、ということになる?

また池田氏は「原発のアキレス腱は安全性より経済性である。原発は核燃料サイクルや損害賠償のコストを考えると、私企業には不可能なプラントになったといわざるをえない」とも書いている。

ほか、これも興味深い記事だった。(池田氏の孫氏の太陽光発電コスト考への反対意見)
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51701378.html
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51700422.html

そして、そんな池田氏のブログに対する記事も紹介。
http://lailai-hanyu.at.webry.info/201104/article_11.html

ほか、参考になった記事。
http://arigirisu.at.webry.info/201104/article_4.html



○これはやってほしいと思うこと。

池田氏が言う<電力会社が送電網ももっているため、独立系発電業者との公正な競争が成り立たない>ということで・・・それについての他の方のコメント「これはNTTの場合の様に誰でも使用できるやうに変更出来るはず」
「送電網は公営化することで公平な運用維持を図り、自由な事業者の参入の機会を増やす努力をすべきです」という意見に賛成。
そうすれば東電などの電力会社の独占状態をなんとかできるということで。

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○原発はほかの事故に比べ危険か否か

池田信夫氏は「原発よりも自動車や石油火力のほうが危険」http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51693454.htmlとしている。
ホリエモンもそう言っていたっけ・・・

それについて、原発のリスクは別次元だと私は思うが・・・

池田氏は
【自動車のリスクを「年間5000人」と書くのなら、同じ基準で原発のリスクを比較しないと不公平だろう。日本の原発事故の死者は、これまでゼロである。2名の死者が出た東海村事故は核燃料加工施設だが、それを入れても年間0.04人。少なくとも「原発のリスクは自動車をはるかに上回る」とはいえない】
と言う。

死者の数のみで考えてはいけないと思う。
避難を余儀なくされた住民=犠牲者被害者の数は半端ではない。

自動車事故と較べられるものではなく、リスクの質が違うのだと思う。

どう考えても、原発は日本経済を揺るがし(海外の人も日本を敬遠するようになる)、多くの人の生活を壊し、多くの人に悪影響を与えるリスクの高い危険なものだと思わざるを得ない。
大事故であれば、世界規模で影響を及ぼす。世界の皆さんに迷惑をかけるのだ・・・

コメントにもあったが、【被害金額、損害金額】でリスクを考えたら、はるかに原発事故が上回るだろう。自動車事故、飛行機事故、石油火力事故とは比べ物にならないほどの膨大な額だろう。

また、「原発はクリーンエネルギー」とあるが、放射線廃棄物の最終処理でさえできていないのに、どうして「クリーンエネルギー」といえるのか不思議だ。最終処理が出来ない(放射性廃棄物を埋める土地が見つからない)ということは、それだけ「危険なエネルギー」ということだろう。

そして「原発を恐れるなら、まずタバコをやめたほうがいい」というが、タバコは個人の勝手で、怖いと思う人はやめられるが、原発事故は巻き込まれてしまうのだ。タバコは自己責任だが、しかし原発による被曝は違うだろう・・・お家の傍に原発ができたから遠くへ引越しする、なんてことは、なかなか難しい。

なお、受動喫煙については、禁煙席に行けばいいことだし、喫煙者から離れれば良い。
今の時代、原則禁煙なので、喫煙者は堂々と喫煙できないはずだ。

「低線量の被曝は無害か有害か」については、上のほうで述べた。
「低線量無害説」が、多くの専門家を納得させ、実証できれば、どんな大事故が起こっても、少なくとも「世界の皆さん」に迷惑をかけるってことはないのだろうが・・・

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年齢と発ガンの可能性の相関

http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics01.html
どこで+1%されるかによってノイズかそうでないかは大きく分かれますね。
by 年齢と発ガンの可能性の相関 (2011-04-27 23:22) 

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