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西原理恵子VS専業主婦その1 [人生・生き方・生活・人間関係]

朝日新聞(4月22日)で、漫画家の西原理恵子さんが「人が人であるために仕事とお金がある」ということで、談話が載っていた。

まず、その主旨「専業主婦はリスクが高い職業」ということには大いに納得した。

しかし・・・【ダンナ様に一生面倒を見てもらう人生(「専業主婦」のことを指しているといっていいだろう)=誰かにお金をもらって食べていくことは、基本的に「物乞い」と同じ生き方だ】 と西原さんは言っている・・・

【発展途上国は援助をもらって当たり前と考えている人が大勢いて、自分の手でなんとかするという発想がなく、思考が停止している】というようなことも書かれていて・・・
物乞い=思考停止している、と捉えられても仕方ない。

もちろん、西原さんは【専業主婦も立派な職業とは思います】とフォローしている。

だが、穿った見方をすれば・・・専業主婦が立派な職業だと本当に思っているのならば、「物乞い」などという言葉が出てくるのだろうか・・・

西原さんの主旨は分かる。
【ギャンブルのような職業=「専業主婦」なのだから、女性に専業主婦願望を植え付けたり、男性に「家庭的な妻が欲しい願望」を植えつけるのは危険であり、男も女も働くべきだ。】と、これを一番言いたかったのだろう。

フォローをしているとはいえ、やはり専業主婦の人も、これを読んだら、「ダンナに一生面倒を見てもらっている=誰かに食わせてもらっている=物乞い」「思考停止している」と言われているように感じるかもしれない。
暗に、専業主婦は物乞いと一緒だ、と言われているような気がする人がいるかもしれない。

そう、「専業主婦は悪い生き方」「専業主婦は物乞いと同じ」「専業主婦=物乞い=思考停止した人間」と言っている様にも聞こえる。

生活する上で経済的に誰かに頼り、稼いでいないからといって、「基本的に物乞いと同じ生き方」などと言われたら、いい気分ではないだろう。

今、専業主婦で、子育てに忙しく、とても働く余裕などない人や、子供の健康のために、食事にこだわり、オヤツまで手作り、家族が健康に気持ちよく過ごせるように家事をがんばっている、というような家事育児に専念している人にとって、キツイ言葉だなと思った。

また、年配の女性は専業主婦の方が多いだろう。自分の歩んできた人生は「物乞い」と同じ、というような意味のことを言われるのはかなり厳しい。

西原さんは【働くこと(=お金を稼ぐこと、ということだろう)は生きることで、生きることは働くことなんです】とおっしゃっている。

ということは、働いていない=お金を稼いでない人は【生きていない】と捉えることができる。つまりお金を稼ぐ仕事をしていない人は、【人間として最低】と受け取れる。

そこまで言わなくても、『専業主婦はリスクが高い生き方だ、自分でお金を稼ぐ生き方のほうが安全である』と言うだけでいいのではないだろうか。
なぜ「物乞い」などと言う過激な表現をしたのだろう。

もちろん、西原さんは、これから結婚する若い女性に向けて言ったのであって、現在、専業主婦の方や、専業主婦として生きてきた女性、家庭の事情や病気や障害でお金を稼ぐことができない人のことを批判しているつもりなんてないのだろうが・・・

しかし、人の『生き方指南』をする場合、気をつけないとならないのが、「おすすめする生き方」を説くのに、「自分がおすすめしない生き方をしている人間」に対し、配慮に欠ける言葉を放ち、マイナスに捉えて、発言してしまうことだと思ってしまった。

ま、どうしたって『おすすめする生き方』を説くのに、それと反対の生きかたをしている人、おすすめする生き方をしていない人を、マイナスに捉え、そういう言葉を放ってしまいがちだろうけれど。

生き方指南をする人は、指南できるだけあって、立派な生き方をしていると思うし・・・西原さんはほんとうにすごい人だなと尊敬してしまう。

が、こういった人たちのすごさを感じる一方で、それは『遠い世界の強い人たちの考え』という気もする。
みんな、西原さんみたいに強くはないのだ。

それに今の現状は・・・今の保育所も入りたくても入れない、小児科医も少ない、子供が病気になったとき預けるところもない、介護施設も不足・・・ 育休もとりづらいところもあるだろうし、後の復帰も難しいだろう。

子供や老人や病人など、世話をしないといけない家族がいたりして、そういった家族の世話をしながら、アルバイトやパートではなく「夫に経済的依存していると言われないくらいの生活費」を稼ぐ、というのは、超人的な生き方に思える。
夫が家事育児を分担してくれても、かなりキツそうだ。それに夫も激務で余裕がなく、分担できない場合もあるだろう。

また夫が転勤族の場合、妻が仕事を続けるのは難しい場合もあるだろう。

夫を単身赴任させて、週に1度会えればいいのではって?それは個人個人の考えで違うだろう。海外赴任の場合は週1も厳しい。
夫側も、結婚したのに単身赴任で結局一人で暮らすのならば結婚した意味がない、と思う人もいるだろう。子供がいた場合、子供と離れて暮らすことにもなる。

そう、指南されるその生き方は正しくても、「人間として当たり前の生き方だ」と声高に叫ばれても、人によっては、かなり大変な生き方に感じるかもしれない。。

『生き方指南』をして、それが話題になるような人たち(=有名人)は、基本、高額所得者であり、そういった家族の面倒を見てくれる人を雇うこともできるだろうし、経済的に家事も外注できるだろうし、自由業であれば、時間の融通も利く。(もちろん、そこまでいくのに、常人にはできない大変な努力があったに違いない)

あるいは、実家の親に、子供の面倒を見てもらうことができた、また、子供や家族がそれほど病気がちでもなく健康であり、保育所や介護施設などにすんなり入れた、そして夫も転勤がない、夫が激務ではなく、わりと余裕があってかなり手伝ってくれる、など・・・運も良く、恵まれた環境にあったかもしれない。

そして、もちろん、運だけではなく、誰もが認める『正しい生き方をできる人』は、強靭な精神力と体力があり、大変な努力家なのだと思う。


と、なんだか西原さんを批判するようなことを書いてしまったが・・・
「物乞い」=「高価なものを買ってもらったり、デート代の費用は男性に出させたり、食事をおごってもらえるのが当たり前と思っているたかり根性の女性」というならば私は支持するかも^^;

そう、バブルの頃なんか、「デート代や食事をおごってもらったり、欲しいものは男に買わせ、いかに男にたくさんお金を使わせたかで女としての価値が決まる」「自分でお金を出して買うなんて、かわいそうな女性。女としての価値が低い」「割り勘を求める男性はケチ」という考えをする女性がわりといて、欲しいものは自分で買う女性やデート代が割り勘の女性をかわいそうがり、見下し、割り勘を求める男性をケチだと貶す風潮もあったから。

※もちろん、男性にお金を出させる女性は、その男性を満足させ、男性が金を出していいと思わせる価値のある女性ということで、「物乞い」とは違うのだろう。女を磨く努力もしているだろうから立派かもしれない。


そして、さらに昔は・・・ダンナさまの稼ぎで暮らしていける女性=専業主婦は、ダンナの稼ぎだけで暮らしていけない働いている女性を「かわいそう」と見下していた時代もあっただろう。
「お母さんが働きに出ていて家にいないなんて、子供がかわいそう」と言われ、外で働いている子持ち女性のほうが批判されていた。

なので、こうやって、人の生き方を批判することは「お互い様」ということなのかもしれない。


しかし、批判された側は、批判したほうの生き方を認めることはできないだろう。
自分の生き方をマイナスに捉えられて批判されれば、「そっちの生き方こそ間違っている。こんなマイナスがある」と自分の生き方を正当化したいのが人間だ。

働いている女性が、専業主婦の方に対し、「結婚して子供がいても、働くのが当たり前で、経済的に誰かに頼り、稼ぎのない人は物乞いと同じだ」と批判すれば・・・
専業主婦は働いている子持ちの女性に対し、「家庭をおざなりにして、子供がかわいそうだ」と批判し返したいだろう。

相手の生き方をマイナスに捉え批判し合うことになりかねない。

お互いに相手の生き方を尊重するのは難しいのかもしれないが、せめて批判めいたことやマイナスに捉えて見下すようなことをしないほうがいいと思うのだが・・・



補足。

誤解なきよう・・・「人を批判するな」とは思わない。
もしも、ある人を批判したい時、その人個人を批判すればいいのだ、と思う。

けれど、たいてい・・・「だから、結婚してない人は・・」「だから子供がいない人は・・・」「だから、働いてない人は・・・」「だから専業主婦は・・・」の後は、「幼稚、非常識、世間知らず、我がまま、自分勝手」などなど、その人と同じ生き方をしている人全体をマイナスな言葉で批判してしまいがちだ。

昔、女性が何か失敗した時、「だから、女は・・・」と言われ、女全体が「ダメだ、仕事ができない、任せられない、社会的でない、責任感がない」などなどマイナスに言われてきて、その度に女性達は「女性をひとくくりにして、ダメ扱いしないで」と訴えてきた。

同じ生き方をしている人=この場合、専業主婦をひとくくりにして批判するというのは、それと同じことをしているということである。


とまあ、偉そうなことを言ってきたが、
私もついつい・・・人に対し、ひとくくりにして全体的に批判してしまったり、お互い様だと思う場合、すでに先に相手が他者に対し見下し行為をしている場合、仕返しに批判した側へ、わざと皮肉めいた慇懃無礼な言葉を吐くこともある。

また、無意識でも、私も人を傷つける言葉を悪気なく吐いてしまっていることもあるのだろうな、と思う。

人は、誰でも、悪気なく、誰かを傷つける言葉や失礼なことを言ってしまっているかもしれない。
西原さんも専業主婦の方を傷つけようとは思っていないだろうし、悪気もなかっただろう。

ちなみに 妻が一番傷つく言葉が、夫による「食わせてやっている」であり、「俺と同じだけ稼いでみろ」だと聞く。

専業主婦の妻は、夫に食わせてもらっている、のではなく、家庭運営における役割分担をしているに過ぎず、ましてや「基本的に物乞いと同じ」ではない・・・いえ、さすがに妻をそこまで見下している夫はそういないとは思う・・・だから西原さんの「専業主婦は物乞いと同じ」発言にびっくりしたのだ。

男性が同じことを言ったら、朝日新聞のような左派メディアは目の色かえてその男性を叩くだろう。
なのに、西原さんのような女性が言うのはいいのか?

私は西原さんよりも、その発言を訂正させずに、見開きで大きく取り上げ、それどころか「物乞い」という文字を目立たせた朝日新聞に不信感を持っている。
西原さんはもともと過激な発言をする人だ。だからこそ編集権限を持つ朝日新聞が気をつけなければいけないのに、専業主婦蔑視発言を許した。男性が同じことを言っても許すのか? きっと許さないだろう。

朝日新聞(左派)のこういったところに非常に違和感を持っている。

ま、とにかく、言葉って人を傷つけることもあるから、特に「言葉を操る人」は充分、気をつけないといけないのかもしれない、と自戒を込めて、反省。

・・・・・・・・

さて、いい子ぶっちゃったので、ここでひとつ、はじけてみよう。

西原先生の、ほかのところで吐いていた『専業主婦への毒舌』を紹介。

以下、転載。

【だいたい健全な借金つーのがこの世にないワケよっ。金が無かったら使うなっ。無かったら働けっ。
ついでに専業主婦禁止法もつけとけっ。
この世の中には病気にならない夫、つぶれない会社につとめてる夫はおりません。

病気や失業。そのどっちかが来た時、君の専業主婦って仕事が何の役に立つ?はっきり言うと「足手まとい」。
女子、覚えとけ。「おごってもらう」は「めぐんでもらう」で、それは乞食のするこった。
男も女も年寄りも若いも全員働け。自由は有料だ。自分の金で食う寿司が一番おいしい。 】

転載終わり。


以下、私の感想。

そうかー、これが西原さんの本音かー、いや、たしかに納得。大いに納得である。
西原さんの朝日新聞での「専業主婦も立派な職業だとは思います」と変にフォローするより、かえって、こういう言い方のほうが、すっきりするし、反論しようとも思わない。
・・・なぜだろう。いやあ、書き方(言い方)ひとつで違うね。新聞と同じこと言っているのにね。

ということで、西原さんの本音は、やっぱ専業主婦を「立派な職業」とは全然思ってないじゃんかー・・・ということだ。

「キレイ事は嫌い」ってテレビで言っていたのに・・・さすがの西原さんも新聞では「キレイ事」を言ってしまうのか・・・って、ここは、つっこませていただこう^^;


女性は結婚しても働き続けなくてはいけないということならば・・・子供はあきらめましょう
だって現在の日本社会では、子供が病気になったときも預かってくれるところはほとんどないし、
かといって実家の親に頼るにも、西原さんがおっしゃるには「年寄りも働け」ということで、実家の親も子供の面倒など見れないだろうから、オトナたちが働き続けるには子供は足手まとだ。
そう、もし「病気がちな子供をもってしまったら」、そうそう仕事は休めないので働き続けるのは不可能・・・ということで【子供なんか産まずにとにかく働け】と、ここまで言って欲しかった。

専業主婦がリスクの高い生き方なのであれば、子どもを持つこともリスクが高い、ということになるからだ。


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